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高機能自閉症・アスペルガー症候群とは


          
高機能自閉症スペクトラムの特徴


第一びわこ学園 園長 口分田政夫
  高機能広汎性発達障害 アスペルガー症候群 高機能自閉症と診断された人たちの特性についてお話します。このような人たちは、自閉症スペクトラムともよばれています。
 
  このような人たちには、通常の認知力があること 会話ができることで、本人のわかりにくさ、できにくさが外からは見えにくい状況があります。そのために、周囲から、わがまま、がんこ、自分勝手と誤解されやすいのです。でも本人たちは、自分のもっている力でせいいっぱい環境に適応しようとしています。相手の意図や状況のわかりにくさへの、不安や混乱として不適応を起こしてしまうのです。わかりやすく具体的に伝えあうことや、環境が本人たちにわかりやすくなることで、本人たちのそのままの力で、より適応的な行動が可能になるのです。
 
  また、それぞれが大切にしている大好きな世界をもっています。それはこだわりのようにみえるときもありますが、すてきな趣味や仕事そしてその先には芸術や科学へと発展していく可能性も秘めています。一人一人の可能性につながる世界を大事に育んであげたいと思います。
 
  ここでは、こういった、すこし発達のかたよりはあるけれど誰にも変えがたく魅力的な(高機能)自閉症スペクトラムの人たちの共通の特性について述べてみます。
 
 まず一番目の特徴として対人相互性や社会性の問題です
  人と相互的に関わって場にふさわしい行動をとる能力の未熟さとして、表現されます。みぶりや表情、視線などから、自然に相手の意図を感じ取り、自らも表現する、感情を共有するといった対人相互性に関わる能力が未熟です。
 
  人と人の間で何が共有だれているのか十分わからないので、その場の雰囲気を読めなかったりします。また、お互いの興味 関心をどうすれば共有できるかがわからず、表面的には共有しあおうとする気持ちや意欲の乏しさと見えます。その結果、同年齢の子と適切な仲間関係をつくることがとても困難です。しかしこれは本人たちが仲間を欲していないわけではありません。相手の意図を十分つかめず、人との関係が一方的で、自分の関心のあることを一方的に 話してしまったりします。また全体のルールや暗黙の了解がわからず場違いの、自分勝手とみえる行動をとってしまったりします。自分が主張したことと相手の意図が違ったときにその場で適切に調整したり、譲ったりすることができにくい特徴を持っています。これらは自分の思いの表出や実行を、同時に相手の意図を感じ取りながら、表現、実行していくという、同時処理能力の低下にも要因があります。
 
 2番目の特徴は興味及び活動の限局的・反復的・常動的様式です。
  歴史・図鑑的知識・天気図・時刻表・カード・ゲームなど膨大な、知識的情報に関心があります。また、自分なりの順番 パターン やりかた を持っており、それを変更したり介入されたりすることに抵抗があります。この変化への抵抗は、時に頑固さ、融通のききにくさとして見えることもあります。また新しいことや状況に挑戦したがらない、不安感としてみえることもあります。
 
  物や状況の一部や細部の特徴に強い関心がいき、全体の状況や意味、文脈を見失い不適切なストレートな発言や行動につながることもあります。これらは非常識や相手への失礼さと誤解されることもあります。
 
  しかしながら、これらのある特定の分野への過剰な集中と興味という特性は、本人の仕事や趣味に発展させていける可能性があります。社会との接点をさぐりつつ、うまく育んでいけるよう、周囲が見守ってあげる姿勢が大切となります。
 
 3番目の特徴はコミュニケーションの質の問題です。
  高機能自閉症とアスペルガー症候群の違いは、言語力といわれています。前者では、明らかに話し言葉や言語に困難さを認めるが後者のアスペルガー症候群では認めないことが鑑別点になっています。しかしながらアスペルガー症候群の子どもたちにも、よくコミュニケーション上の課題が認められます。語彙は豊富で、単語や知識を熟知していても、文脈や全体的な状況の中で、言葉を理解することが苦手です。比喩的表現、関係の中で意味が変わる抽象的表現、言外の意味や言葉の背後にある意味を伝える表現は、理解しにくく、他人の意図を取り違えることが多いのです。具体的に、短く、明確に説明してもらわないと意味が理解しにくいことも多いのです。
 
  また、言葉の使い方(語用)に課題が多く、すぐれた言語表現能力をもっていいても、「今日はどうだった。」 「どうしょうか?」などの自由回答型で概括的な質問には、適切にこたえることができないことがあります。会話の根底にあるメッセージをうまく感じ取ることができにくいからです。一方論理的に回答がひとつ導かれる質問や自分に関心のあるテーマに応えることは得意です。
 
  またアスペルガー症候群、高機能自閉症共通の特徴として、表情、身振り、視線などの非言語的なサインで、メッセージを読みとったり、逆に相手に自分の気持ち伝えたりすることも非言語的コミュニケーションもできにくい特徴があります。
 
  これらの特徴のために、相手と距離感がとれず人に近づきすぎたり、あるいは無視したり、避けたりしているようにみえることがあります。また時に一方的な饒舌にみえたり、場面緘黙のように見えたり、することもあります。人によってコミュニケーションの問題は形をかえて表現されるのです。しかしいずれも相手の意図や文脈、状況がうまく読み取れないことは共通しています。
 
 その他の特徴
  感覚過敏(音や視覚 触覚)と協調運動障害すなわち不器用さを伴うことがあります。
 
  低くうなるような音や振動音に過敏性を示すことがあります。また、指先に力がはいらなくて、字がうまく書けなかったりすることがあります。また、腹部に力が入らず、授業中の姿勢がわるい、歩く姿勢がかわっているとみえることもあります。全体の状況をかまわずにマイペースで動き回ることから多動の症状が前面に出たり、また自分の世界に没頭して、人の話を聞けないなど不注意のように見えたりすることでAD/HDと診断されることもあります。
 
 最後に
 これらの自閉症スペクトラムの特徴は、 育て方や環境から、生じてくるのではありません。何らかの、脳の神経ネットワークの先天的な特徴から生まれてきます。しかしその特徴が、得意なところをいかすという、いい方向にいかしていけたり、逆に不適応をおこしたりというところには、一人一人の特性に応じた環境や関係を築けるかどうかに影響されます。一人一人の長所をいかし、可能性をひきだせるような支援の中で、本人が自信をもち、自ら自分の特性を知って行動できるようになることを目標にしたいと思います。
 

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